An Algasta

Syamuさんというyoutuberの発言を書き起こしたり、彼に関する考察を書いてます。

フリーゲームのストーリーを理解できないsyamuさんを考察する

ここではシャムさんがゲームのストーリーを理解する上で障害となっている要素を、 実際の例を挙げながら説明していく。 syamuさんが実況したフリーゲーム(具体的には怪異症候群、クロエのレクイエム)の内容のネタバレを含むので、 純粋に実況あるいはゲーム自体を楽しみたい方は注意。

非言語的表現に対する理解

最大の障害である。

まず怪異症候群が例として挙げられる。 このゲームの中では、神代由佳という少女がひとりかくれんぼというオカルトの儀式を実行したために(このことはオープニングで示される)、 幽霊が乗り移った人形が彼女の家族を殺し、彼女の友人の美琴を危険な目に遭わせてしまう。 だがsyamuさんは、由佳は今回の事件を一生後悔する事になるだろうと言われても訳が分かってない様子で、 誰がひとりかくれんぼを行ったのかが問題だと見当違いのことも言っており、 由佳がひとりかくれんぼを行ったことを覚えていなかった。 なぜオープニングで提示されたはずの重要な情報を僅か数十分で忘れているのが疑問だったが、 どうもオープニングでこのこと自体を理解できなかったようだ。 原因はその表現の方法にある。

由佳はパソコンを見てひとりかくれんぼの方法を読み上げ、 準備が出来た旨を呟いて部屋から出て行く。 そして画面が暗転し、「由佳から連絡があったのは、午前3:00過ぎのことだった」という文章が表示される。

この文章には言外の意味が含まれている。

  • 由佳がひとりかくれんぼを実行したこと
  • その儀式によって彼女の身に危険が訪れたこと(これは直後に語り手の推測という形で直接表現されるが)
  • 視点が由佳から別の人物に変わったこと

の3つである。 恐らくsyamuさんはどれも理解できなかった。 この後、ゲームでは美琴が由佳の家を訪れるのだが、 実際に途中まで画面に映っている人物が由佳ではないことに気付いていなかった(声に出してそう言っている)ので、 少なくとも視点が移ったことは理解していなかったようである。 シャムさんはこのような非言語的表現を理解できないために、フリーゲームのストーリーが把握できない。

これは非言語的表現と言っても、言語的表現の行間を読むという意味合いになるが、 シャムさんはこれだけでなく、絵と音で表現された(文字通りの意味の)非言語的表現も理解できない。 例を挙げると、クロエのレクイエムがある。

このゲームでは、終盤でクロエという少女の過去が語られる。 彼女は父アランから虐待を受けていた。 彼女が心の中で「殺される」と呟いた後、彼女が壁にかかった刃物の前に立っている姿が映る。 そして、画面が暗転して悲鳴と刃物の音が響いた後、服を血塗れにし、刃物を持った彼女の姿が描かれる。 syamuさんはこれを見てもクロエがアランを殺したということを表現しているのを理解できていなかった。

彼には与えられた情報を関連付けて推測する天性の能力と、 こういった表現の正解を知る機会が不足しているのかも知れない。

話し手の示されていない会話文

非言語的表現を理解できないことの下位要素として考えられるものの1つである。 フリーゲームなどでは鍵括弧の前に人物の名前を書いて誰が喋っているかを表現する手法が 多く使われていると思うのだが、独白などは画面が暗転してこの表記がなくなることがある。 syamuさんはこの表現手法が用いられた時、 誰の台詞か理解できないことは少ないが、ほぼ必ずスムーズに理解できない。

理解できなかった例に怪異症候群がある。 chapter3では、主人公の美琴が夢の中で殺人ピエロに追い回され、目を覚まさなくなり、 氷室、加賀、霧崎の3人は彼女の異変に気付く。 chapter3の最後では、ピエロが美琴を追い詰め、「早く死んでください」と言った直後、 「いや、死ぬのはお前だ」と誰か(霧崎か氷室)の声が聞こえる。 そして、破裂音がして、赤いフラッシュの後に画面の色調が赤く変わり、彼女は悪夢から解放される。 しかし、シャムさんはこの台詞にも何の反応を示さなかった。(したがって彼の中では 急に音とフラッシュが現れて美琴が悪夢から覚めたことになるのだが、 これにも何も疑問を感じていない様子だった) 原因としては、ピエロの台詞にも「いや、死ぬのはお前だ」という台詞にも鍵括弧の前に名前が書かれておらず、 誰の台詞か区別が付かなかったものと思われる。

何とか理解できたが致命的だった例としてはクロエのレクイエムがある。 上述したクロエが父アランを殺したシーンの後、彼女は呪われてしまい、 助けを求める独白を発するのだが、 シャムさんは誰の台詞か分からず、アランが言ってるんじゃないよね?と呟いていた。 暫くしてクロエの独白だと気付くが、物語の核心に迫る部分をすぐ理解できないのはあまりにも致命的であった。 たとえクロエが父を殺したことを理解していなくても、その後の流れや口調から誰の台詞かはすぐ分かる。

これら以外にも怪異症候群を中心としてこの種の表現の理解に苦戦しているシーンは沢山見られる。

効果音に対するこだわり

非言語的表現を理解できないことの下位要素として考えられるものの1つである。 シャムさんは効果音にこだわりすぎる所為でストーリーを理解できないことがある。 これだけ聞くと意味が分からないかも知れないので具体例を挙げる。

怪異症候群では、主人公・美琴は どんなに歩いても同じ道に戻ってしまうという不可解な現象に巻き込まれ、 民家の黒電話を使って、知人の警察官に助けを求める。 この時の効果音を聞いたシャムさんは、どう聞いても黒電話の音ではないという旨のことを言いかけ、 携帯電話でかけていると勘違いして勝手に納得してしまったのだ。

他にも、警察官の氷室が能面の怪異を相手に銃撃戦を繰り広げるシーンが、 効果音と赤いフラッシュで表現されているのだが、 別の人物が駆けつけて「銃声が聞こえたから何事かと思った」 と言うまで銃を撃っていたことを分かっていなかった。 これは赤いフラッシュの意味を理解できていないということも一因となっているかも知れない。

このようにsyamuさんは効果音を厳密に評価するのでストーリーを誤解したり、理解できないことがある。

また、上述した怪異症候群の由佳が部屋を出て行くシーンでは、雷の音を引き戸の音だと言っている。 その音は現実の引き戸の音からはかけ離れているように思うのだが、客観的にもそうだとしたら、 彼の中の厳密な基準は現実に即している訳でもなく、ますます厄介である。

この他にもストーリーを間違えて解釈した訳ではないが、 怪異症候群では自販機の音にチープだと文句を言ったり、 アイテム入手SEがのびハザと同じ音だと言ったり(RPGツクール2000に標準で用意されている素材である)、 セーブSEが零の月食の仮面のものと似ていると言ったり、 マヨヒガでは階段移動SEがドラクエのものと似ていると言ったり(階段を移動する音にそんなにバリエーションがあるものだろうか)するなど、 とにかく効果音に対するこだわりが強い。

幸いそこまで大きな勘違いには発展していないようだが、 上述したクロエが父を殺す場面が理解できなかったことの一因であるとも考えられる。

言語的表現の理解

非言語的表現だけでなく言語的表現も理解できなければ何が理解できるのかと思うかも知れないが、 非言語的表現よりは理解できていることが多い。

短文の解釈

一番分かりやすい例は怪異症候群chapter2、実況のパート8にある。 怪異に襲われていた美琴が民家から出ようとした所、テレビから音がして、 「本日の犠牲者」と題された映像が流れる。 そこには美琴の名前と彼女が会ったおばさんの名前が含まれていた。 シャムさんはこれを見て、美琴とおばさんは既に死んでいると捉えてしまった。 この場合の「本日の犠牲者」という言葉は、その日に既に死んだ者の名前というより、 今日これから死ぬ予定の人物、つまりこれからその人物に危険が迫ることを表している。 syamuさんはあまり多くの表現を知らず、 言葉の意味を狭く解釈するのでこのような勘違いをしてしまうのだと思う。

なお、上で挙げたものは言葉をそのままの意味で解釈するという性質が強いが、 実は短文の解釈としては例外的である。 シャムさんは、他のものを解釈する時は言外のニュアンスを殆ど読み取れないが、 短文を読む時に限って、これを非常に強く意識していることが多々ある。 例えば、怪異症候群実況中で「……ん、どうした?アンタ……人の畑にまで入ってきて」という台詞に、 彼は「もう入って来てます」と返している。 確かにこの表現はただ理由を聞いてるのではなく、不信、不快、怒りといったニュアンスが感じられるが、 シャムさんはこれを「入って来るな」と言う意味だと解釈している様子である(それにしてもおかしな返答だが)。 他にも「ご在宅でしょうか」と声を掛けた人物に対して「もう入ってますよね」と言ったり、 「霊媒体質の人は一人かくれんぼをすることはお勧めできません」という文章に、 「既に(中略)巻き込まれてるんですけど」と返すなどしている。

長文の読解

怪異症候群では、美琴は人の形をした白い物体に襲われ、 どんなに歩いても同じ道に戻ってしまうという不可解な現象に巻き込まれ、電話で助けを求める。 通話相手の霧崎という民俗学者の男が彼女に「くねくねって知ってるか?」と尋ね、次のような説明をする。

くねくねは一種の妖怪のようなものであり、状況から怪異の元凶だと考えられる。 世間に広まったのは2003年初期だが、霧崎たちはもっと昔から知っている。 最初は自然現象によって引き起こされる幻覚症状だと推測されていたが、事実は違った。 1978年にとある村で20人近い集団発狂事件が起こり、村人は一人残らず元には戻らなかったのだが、 目撃者の証言と発狂者の発言からすると、白い形をしたヒトガタを見たことが発狂の原因だと分かった。

敢えて原文に含まれる不要な要素も加えて冗長な説明をしたが、 この内容を数個のキーワードだけで表すとしたらどうするだろうか。 多くの人は「村人」「発狂」「原因」「くねくね」のように まとめると思うのだが、シャムさんが選んだキーワードは「幻覚」「1978年」「20人」の3つであった。

この話を聞いたシャムさんは、まず、くねくねの力で幻覚を見ているということだと要約した。 更にこの後、ゲームでは不審なおばさんと会って話をする。 ここでシャムさんはおばさんが村人を殺して悪魔に取り憑かれてくねくねと化した、 おばさんはもう死んでいると支離滅裂な推理を披露する。 この過程で「村人がどうたらこうたら」と村人がくねくねを見て発狂したことも覚えていない様子を見せるのだが、 説明の際には「20人」「1978年」という言葉を用いた。 霧崎の話にこれらの言葉が現れてから12分半~15分半が経過しており、 少なくともこれだけの時間は記憶を保持していたことがはっきりしている。 したがって長文を理解できない原因は記憶力ではなく、読解力にあるものと考えられる。

この他にも怪異症候群では、誰がひとりかくれんぼを行ったのかが問題だと話した後、 犯人は「呪術師」だと言っている。 「呪術師」という言葉はひとりかくれんぼの概要を説明する長文の中で、 呪術師としての資質を高めるために行われることがあると触れられただけである。 詳しいことは分からないが長文を読むと誤ったキーワードに注目してしまう傾向がある。

その他

根拠の無い結び付け

最も相応しい例としては怪異症候群実況chapter4、パート18が挙げられる。 能面の怪異が現れた時、氷室がいたはずのマップに戻ると彼が居なくなっているのだが、 シャムさんはこれを、能面が現れると美琴の力で結界が張られて氷室が見えなくなる、と解釈した。 chapter4で美琴は自身の呪術師としての力を自覚しており、そこは無根拠という訳ではないのだが、 それ以外このように考えた理由が見つからず、 なぜこのような出鱈目な考えに至ったのかが全く分からないのだ。 実況のパート21では能面と氷室の戦闘シーンがあるのだが、シャムさんは氷室が見えていることを 不思議がっており、その場限りの思考と言う訳でもないらしい。

他に、chapter3では気絶した由佳の魂が美琴の体に入ったと推理していたが、 この思考はその場限りで放棄された。

また、原因は不明だが怪異症候群chapter2でこのような根拠のない結び付けは非常によく見られた。 コンビニの店員がいないのを見て、 おじいさん(くねくねを見て発狂した農家か神社の老人のどちらか)が店主ではないかと言ったり、 上で挙げたように不審なおばさんとの会話で、おばさんが村人を殺して悪魔に取り憑かれてくねくねと化したと言ったり、 氷室は村人の集団発狂事件の生き残りだと言ったり、 枚挙に遑がない。

実の所、何故このような思考に至るかという理由だけでなく、 どのような時に起きるのかも私には分かっていない。

暗黙のルール

ゲーム制作あるいはフリーゲームにはあまり明文化されることのない常識が存在するが、 シャムさんにとってこれを理解していないことがストーリーの把握の妨げになっている側面がある。

上の無意味な結び付けと重複してしまうが、これをよく表す例も怪異症候群chapter4、パート18である。 シャムさんは能面の怪異が現れた時に氷室が居ないのを主人公の力で見えなくなっていると 設定と結び付けて強引に解釈したが、 もし氷室が居るままだと幾つか不都合なことが起こる。 まず、この段階で氷室が能面を撃退してしまうと話が進むのが早過ぎてしまう。 一時的に退散させてくれるのだとしたら、 能面に遭遇した時は氷室の所に戻って来るだけで全て対処できてしまう (怪異症候群というゲームが、同じ方法で敵に対処され続けるのを避けていることは chapter4までプレイすればある程度読み取れる)。 また、こういったイベントを作るのは、手間が掛かる上にストーリーを無闇に複雑にしてしまう。 多くのプレイヤーは殆ど意識することなくこういった制作者の都合を理解し、 敵が現れた時に味方が居なくなることはお約束だと捉えるために、 この状況がストーリーと関係があるという考えが抑制されている。 しかし、シャムさんの場合はこうした理解が欠如しているので、 無意味な結び付けを止める理由がない。 結果的に制作者視点の欠如がストーリーを理解できないことの一因になっている。 (なお、この理屈で説明できるのは、無意味な結び付けをやめなかった理由であって、 何故このように状況と設定を結び付けたのかは説明できない)

もう一つの例は非言語的理解の部分でも挙げた効果音である。 制作者の立場からして、効果音をより本物の音に近づけることは ゲームの面白さにはあまり寄与しないので、優先度が低い。 現実の音とは異なっても似た音で代用することはよくある。 シャムさんにこうした制作者の視点が抜けていることが、効果音に対するこだわりをより強固にし、 それを厳密に解釈する傾向を強めている側面がある。

シャムさんは自分以外の視点から物事を考えるのがかなり苦手のようだ。 余談になるが、そのことはコミュニケーションだけでなく、彼の作品にも表れている。 ゾット帝国では話していないことが伝わっていたり、 自分が発言したことを他人が発言したと思い込んでいる場面がある。

ちなみに、syamuさんはゲーム制作の経験を持っていることが piapro時代の書き込みから分かっている(多分ノベルゲーム)。

ストーリーの理解との関係が弱いもの

漢字や語彙の知識不足

漢字が読めない、言葉そのものの意味が分からないためにストーリーが把握できなかったことは、 マヨヒガで古文が引用された箇所を除いて、無いと考えられる。

記憶力の低さ

情報を提示された時点では理解していたが、 時間の経過で忘れてしまったことは、全く無い訳ではないだろうが、特に思い当たらない。

なお、直前に訪れたマップの位置などを忘れていることは多く、 ストーリーの理解との関係が弱いだけで、ゲームプレイそのものには支障を来している。

総括

syamuさんがゲームのストーリーを理解できないのは、

  • 文章で表現されない間の展開を推測できない
  • 視点が移動しても気付かない
  • 絵や動きで表現されていることを理解できない
  • 効果音を彼の中の厳密な基準に即して判断する

といった広い意味で文章で直接表現されていない展開を読み取れないことに加え、

  • 短文を狭い意味で解釈する
  • 長文で誤ったキーワードに注目する

という文章への読解力の低さが原因である。 また、制作者の都合を考えられないのも一因となっている。 このような理解力の低さは、 状況を踏まえた総合的な判断という生まれ持った能力の影響を受けやすい能力の欠如と、 表現が何を表しているかと言う正解を知る機会の不足によるものだと私は考えている。

ここまで概ね示されるsyamuさんの物語への態度は、 「文脈を考えず表面的なことしか読み取ろうとしない」というものである。 これだけならば簡単に説明できるのだが、しかし、2つの例外がある。

  • 短文に限定して言外のニュアンスが強く意識される
  • ときに根拠のない結び付けを行う

適切な推測ができないという部分は他の特徴と共通するが、 直接表現されていないことを捉えようとする姿勢は他と大きく性質を異にしている。 後者は頻繁に見られる特に重要な特徴だが、どのような時に起きるかも分からなかった。 やはりsyamuさんは簡単な理屈で説明できないようだ。