An Algasta

Syamuさんというyoutuberの発言を書き起こしたり、彼に関する考察を書いてます。

猫夜叉とsyamuの漢字の読みの知識が同じくらいである可能性

ここでは猫夜叉との対比を通してsyamuの漢字の読みに関する知識の程度を考察する。 一見でたらめなこの主張を説明しよう。

シャムの誤読の多くは認識ミスが原因で、直後に訂正されるものがある

漢字と誤読のリストの記事で示したように、 怪異症候群実況中でsyamuが「完全に正しく読む」ということをしなかった漢字は160ある。 しかし、その内75個は本人によって直後に訂正される。 残る85個の中で16個は送りがなを誤って認識してしまったものやくだけた読み方など、 漢字の誤読と言うには相応しくない。 69個は純粋な誤読だが、字を付け加えたり読み飛ばしたりしているもの、 字の順番を誤って認識したもの、別の字を認識したと考えられるものが約20ある。 (別の字を認識するのは知識の問題ではないかと思う方のために例を挙げると「文書」「着物」「事例」がある。 それぞれ「こしょ(古書)」「しょもつ(書物)」「じけん(事件)」と読んでいるが、別の箇所では正しく読んでいる。) つまり知識の不足や誤りを原因とするものは約50個しかなく、 誤読の6~7割は認識ミスによるものである。 また、猫夜叉と一緒に実況しているパート11までに限定すればこの種の誤読は約15個しか現れない。

wikiなどでは直後に訂正されたものも純粋な知識の誤りによるものも等しく誤読として分類されており、 それだけを見ると実態以上にsyamuの漢字の知識が乏しく感じられてしまう。 本編を確認することが大切である。

猫夜叉とsyamuが読み上げた文章

前項ではシャムの誤読は半分以上が認識のミスによるもので、漢字の知識を原因とするものは約3割しかないことを示した。 しかし、同様の基準で猫夜叉が担当した台詞における誤読を探すと、恐らく1つもない。

これを知識の差と結論付ける前に2人がどれほどの文章を読み上げたかに注目しなければならない。 まず、猫夜叉が担当するのは主に実況パート4の07:50以降の美琴の台詞だけである。 これはパート4の07:45~07:50頃に、シャムが美琴の台詞は猫夜叉が読むと担当を決めたためである。 ただしこの他にもパート3の、ひとりかくれんぼの解決法を見るシーンの美琴の台詞は猫夜叉が読んでいる。 一方、シャムが担当するのはこれ以外ほぼ全てのゲーム中の文章である。 これには主に地の文、由佳・氷室・加賀・霧崎・佐藤・保坂・神社のお爺さんの台詞、パート4の07:45頃までの美琴の台詞が含まれ、 それ以降の美琴の台詞でも美琴が発した言葉だと気付かずに読んでしまった部分もある(1文字でも読んでしまったものだと40回以上)。 また、担当する人物の数だけでなく、登場人物の性質を考えると担当する文章量の差異が更に大きいことに気づく。 主人公以外のキャラクターは物語を展開するために非常に多くのことを話すが、主人公である美琴はそれに受動的に反応を示すだけなので喋る内容が少ない。

更に、単純な文章量だけでなく、その内容にも目を向けるべきである。 美琴はゲームの主人公なので説明役になることはなく、 制作者が意図して設定しているのか不明だが非常に語彙が少ない。 意図されていないのだとしたら、大人しい女の子の台詞を作る時にやってしまいがちなミスである。 対してシャムが担当する氷室や霧崎は時に物語の解説役となるし、 佐藤・保坂・神社のお爺さんはchapter2の物語の本筋を展開する人物であり、 地の文は主に美琴が認識した物体の詳細を描写するので、 美琴の台詞と比べると語彙が豊かである。

これらを踏まえると、漢字に対する知識が等しくても、誤読の数が15と0になるのは不自然なことではない。

また、全体を通せばシャムは約50の誤読をしたが、 正しく読んだ語句の中で漢検準1級以上の配当になるものはこれより多い。

2人が読めなかった漢字

実際に2人が読めなかった漢字に注目してみよう。 猫夜叉が自分の担当する美琴の台詞の中では誤読も読めない字は1つもなかったが、 シャムは漢字の読みに自信が無い時や分からない時にこれを彼女に尋ねており、 その時の反応から猫夜叉が読めない字がゲーム中に出現したことは明らかである。

2人が共通して読めなかったのは「昭彦」「案山子」「巷」「猿夢」の4つである。 このうち「猿夢」に関してはシャムが迷いながらも正しい読みをして、それを猫夜叉が否定してシャムも流される形になった。 尤も、固有名詞なのであまり参考にはならない。 「案山子」は後に出現した際にシャムが文脈から正しい読みを当てた。 ただし、シャムの担当する台詞であったので猫夜叉が先に読むのは難しく、 また純粋な漢字の知識の話とは若干異なる。

猫夜叉がシャムに読みを教えたのは「待ち人」「巧く」の2つである。 この「待ち人」は「待ち人がお主を憂いておるぞ」という神社のお爺さんの台詞中のもので、 この時のシャムは「憂いて」の読み方も分かっていない様子だが、 猫夜叉はそちらの読みは指摘していないので「憂いて」の読みは2人とも分からなかったとも考えられる。 なおこの「憂いて」だが、「憂ふ」の現代語は「憂える」であって下一段活用となる。 古語としては上二段、下二段活用の両方があるので、 直ちに誤用と言えるほどではないが、ゲーム中の文章自体が誤っていると考えることもできる。

シャムが正しく読んでいたものの自信が無く猫夜叉に尋ねて、 彼女が反応に困っていたのが「寛いで」である。 多少自信が無くとも自分の読みと一致していればそのまま返せば良いだけなので、 猫夜叉は分からなかったものだと考えている。

これ以外にパート11までにシャムが知識の問題で誤読したのは 「綿」「大人数」「廻られ」「淳二」「残留」「亘る」「間引き」「掻い潜る」の8つである。 これらの誤読に猫夜叉は何の反応も示していない。 一貫して彼女はシャムが読みに詰まらない限り何も言ってないので、 このことから彼女が理解しているかどうかは分からない。 ただ「亘る」についてシャムは「いた……」→「わたる」→「いたる」と読みを二転させており、 これに対して何も言ってないので猫夜叉も読みを分かっていない可能性が他の字より高い。 「間引き」も正しい読みを改めて間違えているが、これと「残留」はやや聞き取り難く、 私自身も聞き違いをしている可能性が若干ある。 なお、「廻られ」はゲーム中の文章自体が誤っているが、 「まぐられ」とその影響も跳ね除けるような読み方をしている。 また、「掻い潜る」はパート16では読めている。

これらを総合するとはっきり優劣を決めるのは難しいように思われる。

総括

シャムの誤読が多く見えるのは認識ミスが多いからである。 知識の問題で誤読している部分もあるが、これは猫夜叉と比べると、 担当した台詞の量が多く、語彙が難しかったという理由がある。 また同じ理由で、誤読と同時に難しい漢字を正しく読むと言う成果も残している。 一方の猫夜叉は誤読をしなかったが、これは読み上げた文章が少なく易しかったという影響があったと考えられる。 猫夜叉の水準をより明らかにするために、2人が読めなかった漢字に注目してみると、 はっきりどちらかが優れているとは言い難いほどであった。 思うに、シャムは総合的な漢字知識の水準が等しい他の人より、 易しい語を誤読するが、難しい字を読める。 これを均してみると、「syamuの漢字知識の水準」として考えられる答えの1つは 「猫夜叉と同程度」というものである。

尤もこれは可能性の1つでしかない。 実況中で難読漢字に触れる機会がなかったことが示すように、 猫夜叉について得られるデータはあまりにも少ない。 シャムが誤読したが彼女が何の反応も示さなかった字は全て読めていて、 読みを知らなかった字は偶然連続しただけかも知れないし、 逆に猫夜叉がシャムの読んだ台詞を担当すれば彼より誤読が多くなるという可能性も考えられる。

なお、ストーリーの理解力、マップの構造を把握する力などは、 猫夜叉の方がずっと優れていることが、僅か2時間40分程度の動画からでもはっきりと分かる。